第82話    「汽水域の団子釣」   平成17年10月30日  

酒田本港内(新井田川)の汽水域の団子釣りでは、潮が5分から10分おきに上ったり、下ったりしている場所での釣りがメインになる。従って底スレスレに仕掛けをセットして浮力に余裕の無い棒ウキを使うとウキは流れに負けて直ぐに沈んでしまう事が多い。その他魚が多くいそうなシモリが多い場所を狙う為に、根がかりも当然のように多くなる。下手すると大事なウキを紛失することもしばしばである。そのような場所で団子釣を行う場合は、団子が着底と同時に割れて餌が飛び出すことが望ましい。

自分の場合、通常一ヒロ半から二ヒロ半の場所で行っているが、時には三ヒロ半深さの場所で釣る事もある。河口であるからボラやマルタ季節によってはタカバ、コアジそれにうまづらなどの餌取りが集まる事を承知で、少しばかりアミを多く混入することもある。餌取を集める事によって二歳、三歳が集まり、ある程度時間が経つと尺物も寄って来る。その為には片手握りの小さくて軟らかい団子を作り、短時間で数多く投げ込みポイントをいち早く作る事が重要と考えた釣をしている。この釣り方は時間の制約上いつも23時間長くて4時間と短いの釣だからと云う事がある。大抵のダンゴ釣の方々は大きくて硬い団子を握っての釣りが多いが、この釣り方で小チヌの数釣りを堪能する者は少ない。なぜこの釣り方にはまっているかといえば、庄内ではこの小チヌ釣りを二歳釣りと云ってひとつの釣のジャンルとして確立されているからである。片手握りの軟らく小さな団子釣りでは、操作が簡単で素早い動作が出来るし数打ちが可能である。それに早くポイントを作ることも可能である。大きさは片手で握るためにゴルフボールと同じ位の団子となる。力もさほどいらず、中通し竿で釣を行っている為遠投もしないし、その為何時間でもさほど疲れないのが良い。

自分の釣りは通常庄内中通しの竿4.56mにバカを2ヒロから3ヒロとっている。外ガイドの竿と異なり、道糸が絡まず、軽くて使い勝手がすこぶる良い。竿の重さが120180gとかなり軽い。リールは小型の同軸リールを使っているからこれ又軽い。欠点は遠くのポイントに投げる事が出来ない事である。だから比較的近場(竿12.5本程度)の場所で無ければならない。そんな場所で黒鯛の小型から中型を目安にして釣れるポイントを作り数を寄せて釣っている。

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号に匹敵する竿であるから軟らかい為にボラの5060cm が来ると少し辛い物があるが、引きだけを楽しむにはそれでも十分である。しかし二歳から尺クラスの小型黒鯛の引きに比べれば面白みにかける。竿を立てた時、左右に平を打ちながら逃げ惑う抵抗感がなんとも云えない。楽しみながら釣り上げる、これもまた釣の醍醐味のひとつでもあ。ただ闇雲にリールを巻き上げて釣る釣りは、長年庄内竿に馴れ親しんで来た者としては性に会わない。太く硬い竿で4550cmの黒鯛を釣る努力よりも2030cmの黒鯛を数枚釣り上げた方が、江戸の昔から釣応えがあると云われている。 それがこの年になってそれが実感として感じている。

釣をする者、人それぞれ釣り味に対してそれぞれの思いがあって釣をしている。最近はそれぞれ自分がこれが最高だと思った釣り方で楽しんだら良いと考えている。大きいのを釣ったから上手とか、小さな物しか釣ってないから下手とは云い切る事は出来ない。それぞれ釣り人の自分自身にとっての最高の釣が出来れば、それで皆幸せなのである。